甲斐犬

昔の姿から変わらない甲斐犬の歴史や魅力とは?犬種の性質や毛色、子犬の安い地域とは?

甲斐犬

photo by ginbi44

今もなお、改良されることなく昔からの姿を残す日本犬「甲斐犬」。見た目にも性格にも野性味を感じる甲斐犬はどんなワンちゃんなのでしょうか。猟犬としての才能にあふれ、生涯を一人の飼い主に捧げるという武士のような信念を持つ甲斐犬の魅力を追求。犬種の歴史・性質・毛色・子犬の安い地域などをご紹介します。

甲斐犬ってどんな犬?

甲斐犬

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甲斐犬の魅力

  • 野性味あふれる容姿が格好いい
  • 濃淡さまざまな虎毛が美しい
  • 飼い主に生涯を捧げる愛情深い犬種

甲斐犬は国の天然記念物にも指定されている日本犬です。

シュっと引き締まった顔や体は野性味にあふれており、狼に似た容姿は自然の中で固体を確立してきた甲斐犬ならではの魅力といえます。

野性の荒々しさが残る甲斐犬のトレードマークは、美しい「虎毛」です。この虎毛は大自然の中の奥深い山岳地帯でカモフラージュするために与えられた迷彩服のようなもの。
虎模様は他の犬種にも見られますが、白や薄茶色の混ざらない虎毛一色は世界中で甲斐犬だけです。

また甲斐犬は、生涯をかけて一人の飼い主に愛情を注ぎ、忠誠を尽くす一途な犬種としても知られています。
猟犬として名高い甲斐犬はしつけが難しいともいわれていますが、主従関係や信頼関係を築けた際には、素晴らしいパートナーとなり、生涯寄り添ってくれるでしょう。

甲斐犬の歴史

甲斐犬のルーツは紀元前まで遡り、縄文時代の遺跡からは甲斐犬に似た中型犬の骨が見つかっているといいます。

甲斐犬は古くから山梨県南アルプスの山岳地帯で猟犬として活躍。警戒心が強く他犬種の群とは関わりを持とうとしなかった甲斐犬は、深く狭い山岳地域で自然繁殖を繰り返しながら純血を守ってきました。山梨県の甲斐地方で、立ち耳・虎毛の中型犬が多く確認されたことで地域の名が犬種名につけられています。

1929年に甲府地検の安達太助氏が甲斐犬に着目。1931年には「甲斐日本犬愛護会」が設立され、甲斐犬の情報収集がはじまります。1934年には国で保護する天然記念物に指定され、日本を代表する犬種のひとつとなりました。

また、甲斐犬は同じ日本犬である柴犬や秋田犬に比べ、海外への輸出が少ないところも特徴です。気性の荒さや野生的な容姿など、猟犬としての素質を強く残していることが関係しています。猟犬として優れた素質を持つ甲斐犬が、海外で家庭犬として繁殖されていくことを避けたかったからだそう。

ただ現在は少しずつ海外への進出も進んでおり、今もなお狩猟を行う人々を中心に、甲斐犬の才能に高い注目が置かれています。

甲斐犬の性格・性質

<3つのポイント>

  • 飼い主への忠誠心が高い
  • 感覚が鋭く、頭の働きが冴えている
  • 警戒心が強い

甲斐犬は一人の飼い主に生涯を捧げる「一代一主の犬」としても有名です。初めに飼い主となった人に対して高い忠誠心を抱き続けます。
心を許した人には甘えた一面も見せてくれるため、基本は凛々しい甲斐犬の愛らしい姿を見られるのは飼い主だけの特権です。

猟犬としての血筋を先祖代々受け継いできた甲斐犬は、感覚が鋭く頭の働きが非常に冴えています。理解力に長け、物事の吸収も早い優秀な犬種です。

警戒心が強く、危険を察知する能力が高いところも猟犬ならでは。ただし他人や他の動物に強く警戒することがあるため、幼い頃から人や他の動物に慣らしておくことも大切です。

甲斐犬の飼い方の注意点

古くから「生涯一人の飼い主に忠誠を尽くす」といわれていた甲斐犬は、途中で飼い主が変わった際のしつけが大変といわれています。
愛玩目的で飼育する人も出てきた今の時代は、全ての甲斐犬が一代一主ではないともいわれていますが、犬種が生まれ持った性質に変わりはありません。

里親になったり、人から譲り受けたりする場合は、しつけや関係作りが難しい場合もあるため注意が必要です。慎重な心のケアと、犬種に関する十分な知識やワンちゃんの飼育経験が必要となるでしょう。

山岳地帯に生息していた甲斐犬は高い身体能力を持っているため、体力が有り余った際のストレスには注意が必要です。1日2回(1回1時間程度)の充分な散歩と、時々ドッグランなどで自由に動き回れる時間を設けるといいでしょう。
また山登りが得意な甲斐犬は、1m程の低いフェンスなら軽々飛び越えてしまうため、敷地内からの脱走などにも注意が必要です。

甲斐犬のお手入れ

基本のお手入れは、週に1~2回のブラッシングです。甲斐犬の被毛は換毛期に抜け落ちる下毛(アンダーコート)と、通年生えている上毛(オーバーコート)の2層構造(ダブルコート)になっています。春から夏と、秋から冬に訪れる換毛期には大量に毛が抜けるため、毎日ブラッシングを行いましょう。月に1度はシャンプーをして皮膚を清潔に整えます。

甲斐犬は立ち耳で通気性もそこまで悪くはないため、耳掃除は汚れが目立つときに耳専用のクリーナーで綺麗にしてあげるといいでしょう。

甲斐犬にまつわる噂

★甲斐犬は気性が荒く攻撃的って本当?

甲斐犬は生まれながらに勇ましい心を持っており、不審者や侵入者には容赦なく向かっていく強さがあります。飼い主やその家族を身を徹して守る勇敢な犬種です。
冷静で頭が冴えていて、愛情深い甲斐犬は子供とも上手に遊びます。気性が荒くなったり、攻撃的になったりするときには、そうなる理由があるからでしょう。

★甲斐犬は無駄吠えが少なく、集合住宅の室内でも飼えるって本当?

確かに甲斐犬は無駄吠えの少ない犬種です。「甲斐犬愛護会」には、集合住宅や室内での飼育も可能な旨が記載されています。

ただ、もともとは大自然で暮らしていた犬種です。室内よりも室外でのびのびとした生活を送った方がストレスが少ないかもしれません。飼い主や家族とのスキンシップを好む子もいるため、その子の性格に合った暮らしを提供してあげるといいでしょう。

★ブリーダーによって容姿や雰囲気が異なるって本当?

6種いる日本犬の基準を定める「日本犬保存会」と、甲斐犬らしさを尊重して基準を定める「甲斐犬愛護会」とでは犬種の基準が若干異なります。そのため、ブリーダーがどの団体を基準として繁殖を行っているかによって、容姿や雰囲気が微妙に異なるようです。

子犬を飼う際は、いろいろなブリーダーを比較してみるといいかもしれません。犬舎にいる子犬の様子や、ブリーダーの繁殖方針、父親犬や母親犬の血統や容姿なども踏まえて、好みの子犬を探すといいでしょう。

甲斐犬をお迎えしよう!

甲斐犬

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甲斐犬の基本データ

甲斐犬の大きさ48~53㎝
甲斐犬の体重11~25kg
平均寿命12~15歳
原産国日本

甲斐犬の人気カラー

  • 黒虎(黒地に茶褐色の虎模様)
  • 赤虎(茶または薄茶に黒褐色の虎模様)
  • 中虎(薄い黒地に茶褐色の虎模様)

甲斐犬といえば虎毛が印象的です。濃淡や縞模様の入り方がそれぞれ異なるため毛色が豊富にも思えますが、基本的な毛色は上記の3種類。子犬の頃は単色であっても、成長とともに虎柄がはっきりとしてきます。

甲斐犬は古くから混じりけのない純粋な血統を守ってきた犬種のため、虎柄は自然に生まれたもの。ときに「虎毛犬」とも呼ばれ、虎毛は犬種のトレードマークとなっています。

余談ですが、古い時代は虎毛一色ではなく胸と四肢の先に白い班があったそうです。これらの白い班は、相手が自分との距離を把握しづらくなる効果があるといいます。猟犬として活躍していた甲斐犬ならではの模様ですが、現在は白い班のある固体はほとんど見られません。

また、甲斐犬には全身が白毛の子もいるようですが、純血種の登録やスタンダードを定めるジャパンケネルクラブ(JKC)では認められていない毛色です。虎毛の印象が強いだけに、白毛の甲斐犬は新鮮ですね。

ミックス犬ってどう?

純血種同士を交配させることで生まれるミックス犬。犬種の異なる父親と母親のいいところを受け継ぐことができる贅沢さが魅力です。毛色や顔つき、体格など、どんな容姿になるのかも楽しみのひとつ。純血を守ってきた甲斐犬のミックス犬はそう多くはありませんが、メジャーな組み合わせをご紹介します!

甲斐犬×柴犬

甲斐犬のミックス犬といえば、同じ日本原産の柴犬が有名です。
どちらの犬種も元は猟犬であることから、飼い主への高い忠誠心を持つ子が生まれてきます。柴犬が小さいため生まれてくる子の体はそこまで大きくならず、室内でも飼えるサイズだそう。
毛色は甲斐犬ならではの虎毛や柴犬ならではの薄いクリームなど、個性豊かです。日本原産の犬種同士というところも魅力的ですよね。

甲斐犬その他の特徴

甲斐犬には「鹿犬型」と「猪犬型」の2種類がいます。

「鹿犬型」はカモシカ猟で活躍していた甲斐犬で、顔も体もシャープで細身の体型が特長です。一方「猪犬型」はイノシシ猟で活躍していた甲斐犬で、熊のように頭が大きくずっしりとした体型を特徴とします。
現在はほとんどが鹿犬型で、猪犬型は希少です。

また、甲斐犬の舌には青いあざのような舌斑(ぜっぱん)が見られます。このように、興味深い特徴が多いところも甲斐犬の魅力です。

女の子と男の子どちらが人気?

女の子・・・74%、男の子・・・26%

ブリーダーナビの犬種別検索数より

甲斐犬は女の子の方が落ち着いた性格をしていることが多く、仲間意識が高いところも女の子の特徴です。一人の飼い主に一生尽くすという甲斐犬の典型的な性格は、男の子の方が多いといわれています。
また、データを見ると女の子の方が人気のようです。仲間意識の高い女の子が人気の理由には、猟犬としてではなく、愛玩目的での飼育が増えていることが関係しているのかもしれませんね。

ブリーダーからお迎え!甲斐犬の子犬が安い地域トップ3

1位鹿児島県11万93円
2位神奈川県14万1,666円
3位埼玉県15万5,000円
全国平均12万7,554円

ブリーダーナビしらべ

甲斐犬は多くの人が知っている日本犬ですが、街中で見かけることは少ないのではないでしょうか。
ペットショップにもほとんど売られることがないため、甲斐犬を飼育するには全国からブリーダーを見つける必要があります。

JKCが公開している2017年時点の犬種別犬登録頭数を見ると、柴犬が11,829頭に対し、甲斐犬は146頭。もともと固体数の少ない犬種のため、良質なブリーダーを慎重に選ぶことが大切です。
上記のデータによると、最も安いのは鹿児島県、2位3位は関東がランクインしています。こちらもぜひ、参考にしてみてください。