日本で希少なプーリー、別名は「モップ犬」?性格や飼い方などをご紹介
モップのような見た目が特徴的なプーリーというワンちゃんをご存知ですか?元牧羊犬であるプーリーは、見た目にそぐわずエネルギッシュで運動神経の良いワンちゃんです。ここでは似ている犬種「コモンドール」との違いも含め、プーリーの魅力についてご紹介します。
photo by Anita Ritenour
目次
プーリーってどんな犬?
プーリーの基本データ
プーリーの大きさ | 36~44cm |
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プーリーの体重 | 10~15kg |
平均寿命 | 12年 |
原産国 | ハンガリー |
プーリーの歴史
プーリーのルーツとなったのは、ベルギーとフランスの国境地帯にて家畜追いや番犬などをしていた作業犬だといわれています。この犬種の詳細は定かではありませんが、容姿からアイリッシュウルフハウンドやチベタンマスティフ、シュナウザーなどの血を引いているのではないかと考えられています。プーリーは1000年以上前に遊牧民族が移住するときに、人々と一緒にハンガリーへやってきたと推測されています。「プーリー」とはハンガリー語で「リーダー」の意味を持ち、家畜を守るための牧畜犬として活躍していました。
「モップ犬」という別名の通り、モップのような特徴的な見た目をしていますが、足が大変速く、群れから外れた羊に飛び乗り群れの中に戻すことができたり、狼や熊から家畜を守ることができたりと、優れた能力で人々から信頼されていたようです。
17世紀頃にはハンガリーよりヨーロッパの国々へ輸出され、交雑が行われていきました。その過程で、テリア種との交配で生まれた「プーミー」という犬種に人気が移り、プーリーは一時的に絶滅の危機に陥ることになります。
しかし1912年に「プーリー復元プログラム」という復元への試みが始まり、1915年には最初のスタンダードが制定されることとなりました。その後世界大戦によってまた数が減ることとなりましたが、アメリカのブリーダーたちによって種が守られ、現在に至ります。
牧畜犬として大変優秀で活躍をしていたプーリーでしたが、家庭犬としての人気は伸びず、現在では珍しい犬となりました。
運動が大好き!プーリーの性格
プーリーは活発で好奇心旺盛な性格をしており、運動することが大好きなワンちゃんです。
明るい性格なので、子どもとも仲良くできますよ。
ただし、警戒心が強いので、見知らぬ人にはなかなか懐かないようです。番犬には向いているといえます。
プーリーはプライドが高く、褒め言葉に乗るようなことはあまりありません。自分が正しいと思うことをして叱られると、不機嫌になってしまうこともあるようです。
そのためしつけにははじめは苦労するかもしれませんが、学習能力が非常に高く、飼い主には従順です。
頑固なプーリーですが甘えん坊な一面もあり、常に飼い主や家族と一緒にいたがる愛らしいワンちゃんでもあります。
プーリーの飼い方としつけのポイント
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特徴的な被毛を魅力的なままで保つため、飼育環境には工夫が必要です。運動量は多いだけでなく、ランニングなどの活発な運動も取り入れることとなります。その他しつけのポイントなども事前に確認しておきましょう。
飼い方と注意点
飼育環境と特徴
被毛のお手入れを考えると、室内飼いがおすすめです。
牧羊犬特有のよく響く声を持っているので、集合住宅には不向きかもしれません。
家の中ではゆるめのゴムなどで被毛をまとめておくと、汚れ防止になります。洋服を着せることも汚れを防ぎますが、皮膚が蒸れないよう注意が必要になりますよ。
それでも、長い被毛はモップのようにフローリングなどを掃除してしまいます。じゅうたんを敷くなど、工夫が必要になるでしょう。
ベッドなどを設置する際は、風通しのよい通気性を考慮した環境を選ぶようにしてください。熱中症になりやすいので、温度管理ももちろん必須です。
好奇心旺盛なワンちゃんなので、いたずらされて困るものや危険なものは、ワンちゃんの行動範囲に置かないように気を付けましょう。
プーリーは耳の位置が非常に分かりにくいですが、蒸れやすい垂れ耳を持っています。定期的に耳の状態をチェックし、コットンや専用のクリーナーで清潔に保ってあげるようにしましょう。その他爪切りや歯磨きも、定期的に行うようにしてください。
散歩と運動量
プーリーは運動が大好きなので、1回1時間程度の運動を1日2回行いましょう。
走るのが速く、のんびりした散歩では満足できない可能性があります。ストレスを溜めさせないよう、走り運動や活発に動き回れるような運動を十分に行う必要があります。
ドッグスポーツにも向いており、ワンちゃんと一緒にフリスビーなどを楽しみたい飼い主にはぴったりです。また、与えられた命令をこなすことが好きなので、運動にゲームなどを取り入れることも喜んでもらえるでしょう。
散歩から戻ったあとは、プーリー最大の魅力であるドレッドヘアーのお手入れをする必要があります。このお手入れにもたくさんの時間がかかることを、お迎え前に理解しておきましょう。
吠え癖がつきやすい?しつけのポイント
プーリーは非常に賢い犬種ですが、頑固でプライドが高いため、子犬のうちからしっかりとしつけを行う必要があります。
元牧畜犬なので他人や他の犬への警戒心が強く、吠え癖がつきやすい傾向があります。社会性を身に着けさせること、飼い主との主従関係をしっかりと築くことが大切です。
しつけは一貫性を持って行うようにしましょう。
やって良いことと悪いことの区別をはっきりとつけ、あいまいな態度は取らないように気を付けると、学習能力の高いプーリーはすぐに学ぶことができます。
独立心が強く自分で判断して行動ができますが、叱られるとふてくされ反抗的になる場合もあります。おだてに乗るワンちゃんでもありませんが、しつけは基本的に褒めながら行うようにしましょう。
被毛のお手入れや毛色について
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プーリーは「モップ犬」とも呼ばれていますが、そのように見える理由は「コーデットコート」と呼ばれる縄状の被毛を持っているからでしょう。
同じコーデットコートを持つ犬種として「コモンドール」という犬種もいます。
プーリーとコモンドールとの違いとしてまず大きさが挙げられ、プーリーのほうがサイズは小さいです。また、被毛の色にも違いがあり、コモンドールがアイボリーのみに対し、プーリーにはブラック、グレー、クリーム、ホワイトなどが存在します。
プーリーはふわふわのアンダーコートと縄上に垂れ下がるオーバーコートのダブルコートを持っており、寒さに強い構造となっています。
子犬期は軽くカールしている程度で、その後2歳頃から徐々にドレッドヘアーが完成していきます。
ブラッシングは毎日行うようにし、週に1回は特にたっぷり時間をかけて丁寧にブラッシングを行う時間を作ってあげるようにしましょう。
通気を良くするため、縄状になっている束の部分も定期的にほどき、ほこりや土などを取り除いてあげてください。ほぐしたあとは手でくるくると巻いてあげると、縄状に戻すことができますよ。
プーリーの被毛は地面につくくらい長いので、非常に汚れやすいです。
汚れたらシャンプーをしてあげたくなりますが、毛が絡まっているので、泡を取り除くことや濡れた被毛を完全に乾かすことにかなりの時間と労力が必要になります。
また、一度のシャンプーで使う水量も非常に多いので、そのことも理解しておく必要がありますよ。
被毛の水を手で絞ったあとは、しっかりとタオルドライをしてあげましょう。冬場などは完全に乾き切るまで1週間かかるともいわれているようです。
シャンプーは丸一日費やすほどの大仕事となることを考慮し行うようにしてくださいね。
そのため自力で行うのは難しいですが、プーリーは日本では珍しい犬種のため、その独特なドレッドヘアーに対応できるペットサロンもなかなか見付からない可能性があります。
サロンを利用する際は、事前に対応可能かどうか確認するのがよいでしょう。
プーリーのかかりやすい病気
プーリーは比較的病気にかかりにくい犬種ですが、注意が必要な病気として「股関節形成不全」、「進行性網膜委縮症」が挙げられます。
長い被毛が目に入り病気を引き起こす可能性が高いので、目の周りのムダ毛はカットし、顔の周りを清潔に保てるようにしてください。
定期的な健康診断も怠らないようにしましょう。
股関節形成不全
股関節形成不全とは股関節が形成されていく段階で異常が起こり、様々な症状を引き起こす病気です。
生後4~12ヶ月頃に確認されることが多く、症状は以下のようなものがあります。
- 四肢をつっぱる歩き方をする
- 立ち上がるのに時間がかかる
- 運動を嫌がる
- 横座りをする
遺伝的要因の他、成長期に偏った栄養を与えたり過度な運動をさせたりすることが原因となるようです。栄養管理をしっかりと行い食事を与えるようにしましょう。
股関節形成不全を発症している場合、肥満は症状の進行を早めてしまうので、体重の管理も怠らないようにしてください。
また、室内飼いの場合はフローリングなどの床を避けたり、足の裏の毛を短くカットしたりするなど工夫をし、滑らないように気を付けてあげましょう。
治療には、一般的に内科的治療と手術を伴う外科的治療があり、症状の程度やワンちゃんの年齢、飼い主の希望などによって治療法を決定します。
進行性網膜委縮症
進行性網膜委縮症とは、網膜がどんどん変性し、視力が徐々に低下して失明に至る遺伝性の疾患です。
初期症状では暗い場所で壁などにぶつかったりする行動が見られ、進行するにつれ周辺が見えなくなってくるので動きが鈍くなり、最終的に失明します。目の見た目は、瞳孔が開いた状態になることで、ビー玉のような瞳になります。
遺伝性の病気なので発症を予防することは難しく、また確定的な治療方法も見付かっていないのが現状であり、一度発症すると失明を免れることができない病気です。
購入前に、ブリーダーに親犬の遺伝子や健康状態について確認することを忘れないようにしましょう。
プーリーをお迎えしよう!
photo by Anita Ritenour
ブリーダーからお迎えするメリット
①健康的で社交性の高い子犬を迎えやすい
十分に衛生管理がなされているブリーダーのもとで生まれ育った健康的な子犬を探すことができます。
また、他にも子犬がいる環境で生まれ育っているため、社会性が身に付いた状態で迎えやすくなります。
さらに、基本的なしつけを受けていたり、適切な血統管理がなされていたりするケースが多いです。
②購入後のサポートも安心できる
子犬の見学を通してブリーダーの顔がわかり、信頼関係を築くことができます。
子犬の購入後も分からないことがあれば質問しやすくなり、安心してサポートを受けられます。
③購入金額を抑えられる
流通の中間マージンがかからないため、ペットショップから購入する場合にくらべて子犬の購入金額は安くなります。
プーリーの子犬をブリーダーからお迎えしたい方は、こちらのボタンから最新情報をチェック!優良ブリーダー情報も詳しく掲載しています。
※タイミングによってはお迎えできるワンちゃんがいない場合もあります。