アイリッシュウルフハウンドは最も大きな犬種?体重や性格などをご紹介
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アイリッシュウルフハウンドは、足から頭のてっぺんまでの高さが全犬種の中で最大の犬種です。日本では希少ですが、その歴史は長く、様々な伝説も残されています。今回はアイリッシュウルフハウンドにまつわる伝説や、性格・飼い方などについてご紹介します。
目次
アイリッシュウルフハウンドってどんな犬?
アイリッシュウルフハウンドの基本データ
アイリッシュウルフハウンドの大きさ | 71~86cm |
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アイリッシュウルフハウンドの体重 | 48~68kg |
平均寿命 | 8~10年 |
原産国 | アイルランド |
アイリッシュウルフハウンドの歴史
アイリッシュウルフハウンドはアイルランドを代表する犬の一種です。
その祖先となる犬は紀元前1500年代頃にヨーロッパから渡ってきたと考えられており、非常に長い歴史を持っています。アイルランドでは、狼から家畜を守るための犬を作るべく、この犬の大型化を進めることになります。
また交配の中で、忠実で辛抱強い性格も意識されるようになりました。そのため家庭でも飼いやすくなり、裕福な家庭から望まれるようになったそうです。
そうして多くが輸出されるようになり、アイルランドで減少し始めることになります。
18世紀の中頃になると狼の駆除が進むようになり、猟犬としての活動の場をなくしてしまいます。さらに、19世紀になると飢饉によって飼育が困難となり、絶滅寸前になりました。
しかしその後、アイリッシュウルフハウンドの愛好家が復活を目指して育種を始めます。
そして19世紀末、ドッグショーに出展された際に堂々とした風格と優しい性格が大評判となり、1925年にはイギリスのケネルクラブにて犬種として認定されました。
アイリッシュウルフハウンド「ゲレルツ」の悲しい物語
アイリッシュウルフハウンドには悲しい記録が残っています。
ウェールズの伝説に登場する王子ルウェリンは、「ゲレルツ」というお気に入りのアイリッシュウルフハウンドを飼っていました。
ある日、ゲレルツを置いて狩りに出かけた王子が帰宅すると赤ん坊の息子が見つかりませんでした。
顎に血がついているゲレルツの姿を見た王子は、息子を食い殺したと思いこみ、持っていた刀で殺してしまいました。
するとそのとき息子の泣き声を耳にし、辺りを探してみるとゲレルツが殺したオオカミの死骸の上に息子の姿がありました。
息子の命をゲレルツが守ったことは明らかで、王子は後悔で打ちひしがれました。その後、ゲレルツを手厚く埋葬し、追悼の碑を建てました。現在、ゲレルツの墓には銅像も建立されています。
穏やかで忍耐強い!アイリッシュウルフハウンドの性格
アイリッシュウルフハウンドは「オオカミを狩る犬」という名前を持っている威厳がある犬種ですが、おっとりとしていて気が優しいです。
非常に温厚で落ち着いており、それでいて甘えん坊な一面もある愛情深い犬種です。
飼い主に忠実で、他人や他の生き物にも攻撃的になることなく仲良くすることができます。
非常に大きな体をしていますが、自分よりずっと小さな体の犬や小動物、また人間の子どもにも友好的です。そのため、小さなお子様のいるご家庭でも飼育可能ですよ。
そのフレンドリーな性格から、別名「ジェントル・ジャイアント」とも呼ばれています。
狩猟犬や闘犬として活躍していた歴史もあり、賢く判断力に優れています。従順で忍耐力も強いため、飼い主を困らせるようなことはないでしょう。
ただし、狩猟犬や闘犬の過去とは異なり、警戒心がとても薄く滅多に吠えることもないため、番犬には不向きのようです。
アイリッシュウルフハウンドの飼い方としつけのポイント
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アイリッシュウルフハウンドは、温厚で賢いため比較的しつけやすいと言われています。しかし、大きな体をしているので、飼育スペースや運動量などの条件をクリアできなければ飼育は難しいでしょう。
飼い方と注意点
飼育環境
アイリッシュウルフハウンドは、室内での飼育が望ましいです。
体が大きくても窮屈にならないような広さが必要になります。
室内でおとなしくしていることができる犬種ですが、最低限自由に動き回れるスペースは確保するようにしましょう。
また、滑りやすい床は、転倒や関節の病気の原因になります。
床を滑らないように加工するようにしてください。段差の多い環境や固すぎる床も避けるよう工夫しましょう。
階段は足や関節に非常に大きな負担となりますので、特に避けるようにしてください。
アイリッシュウルフハウンドはゆっくり成長します。2歳くらいまでは大きくなり続け、体を支えるうちに腕や足などの皮膚にタコができてしまうことがあります。
皮膚が弱まると破れて出血したりひびが割れたりしてしまうので、アイリッシュウルフハウンドの行動範囲には柔らかいクッションや敷物を用意しましょう。
静かに落ち着ける大きいベッドがあるとなお良いでしょう。
食器や水飲みを床に置いてしまうと、大きなアイリッシュウルフハウンドは無理な姿勢で食事をすることになってしまいます。そうならないよう、適切な高さの台を用意し、その上で食事を取らせるようにすることも大切です。
さらに、遊ばせることのできる庭も必要です。
狩猟本能から走るものを追いかけてしまう習性があるので、庭には脱走を防止するためのフェンスなどを設置するようにしてください。
寒いアイルランド原産の犬種なので、暑さに比較的弱いです。
特に夏場は、温度管理を徹底するようにしましょう。
散歩と運動量
もともと狩猟犬の超大型犬のため、必要な運動量は多いです。
激しい運動は必要ありませんが、やや太りやすい体質でもあります。
1時間程度の散歩を1日2回行うことに加え、庭や公園で自由に走り回れるような機会を作り、毎日の運動量をクリアできるようにしてください。ボール遊びなども良い運動になりますよ。
固いアスファルトは関節への負担になってしまうので、柔らかい地面の上で運動を行いましょう。
車や自転車、猫など走るものを追いかける習性があるため、散歩の際、リードは必須です。
アイリッシュウルフハウンドのような大きなワンちゃんに追いかけられると、たとえ悪意がなかったとしてもトラブルに繋がる可能性があります。リードをしっかり繋ぎ、離さないようにしましょう。
また、外でひとりぼっちにさせないようにしてください。
お店の外にリードが繋げる場所が設けられている場合がありますが、アイリッシュウルフハウンドはその大きさからとても目立ちます。安全面を考慮し、ひとりで放置させるのは避けましょう。
アイリッシュウルフハウンドは、引っ張る力がとても強いです。散歩を担当するご家族の方は、急な動きも制御できるくらいの腕力が必要になります。
毎日必要な運動量をクリアできて、力負けしない飼い主が望ましいです。
しつけは褒めながら
アイリッシュウルフハウンドは賢いため、人間の反応を敏感に感じ取ることができます。おやつなどのご褒美を活用し、褒めながらしつけを行いましょう。
繊細なところがあるので、叱ると落ち込んでしまい逆効果になってしまいます。場合によっては、ストレスを抱えてしまい、病気になる可能性も。
あまり叱らずに、穏やかに見守りながら進めるようにしましょう。
元々温厚な性格をしているものの、生まれ育った環境も影響を及ぼします。
飼い主が大いに愛情を注ぎたくさん遊んで育てると、よりいっそうしつけやすい従順な成犬に育ちますよ。
また、アイリッシュウルフハウンドは友好的な性格をしているので、他の犬や動物と仲良く遊ぶことができます。
ドッグランや公園などに積極的に連れて行き、他の動物に慣れさせるようにしましょう。
子犬期から、社交性を身につけられるように経験を積ませることが大切です。
超大型犬ですので、しつけに自信がない場合は、しつけ教室に参加したりブリーダーに相談したりしましょう。
被毛や毛色について
毛色について
アイリッシュウルフハウンドの毛色は様々あり、「ディアハウンド」という犬種に見られる色も許容されています。
以下が一般的な毛色になります。
- グレー
- ブリンドル(黒色に褐色が混ざっているもの)
- レッド
- ブラック
- ピュアホワイト
- フォーン(金色のような色にわずかに黒色の差し毛が混ざったもの)
被毛の特徴とお手入れについて
アイリッシュウルフハウンドの被毛は硬く、ごわごわしています。特に目の周りやあごのあたりには針金状の硬い毛が生えています。
アイルランド原産の犬種なので、アイルランドの寒さや天気に耐えられるような強い毛をしており、抜け毛は多くはないようです。
ブラッシングは週に1回は行いましょう。
長めの被毛は絡まりやすく毛玉ができやすいので、毛先からブラッシングをして抜け毛を取っていくようにしてください。
急に根元からブラッシングをすると、抜け毛になっていない毛を抜いてしまう恐れがあるため、毛先からのブラッシングを徹底しましょう。
剛毛で乾きやすい被毛をしていますが、超大型犬のためご自宅で洗い残しなくシャンプーを行うのは難しいかもしれません。
爪のお手入れなども含め、シャンプーはプロに頼むのがおすすめです。
アイリッシュウルフハウンドのかかりやすい病気
アイリッシュウルフハウンドは病気にかかりにくい犬種ですが、大型犬に多く見られる病気には注意が必要です。それぞれの症状や予防策などを確認しておきましょう。
胃捻転
胃捻転とは、なんらかの原因で胃が拡張し、胃がねじれることで発生する病気です。胸の深い大型犬に多く発症する病気なので、アイリッシュウルフハウンドも注意が必要です。
症状として、以下のものが挙げられます。
- 呼吸が苦しそうになる
- 気持ち悪そうによだれを垂らす
- げっぷが増える
- 嘔吐や嘔吐物を伴わない吐き気が起こる
そのまま放置されると死に至ることもある怖い病気です。このような症状が見られたら早急に病院へ連れて行きましょう。
予防策として、以下の点に注意してください。
- 食後すぐに過度な運動をさせない
- 早食いをさせない
- 1日の食事を2回以上に分ける
- 水の飲みすぎを避ける
股関節形成不全
股関節形成不全とは、発育の途中で股関節に異常が起き、うまく関節がかみ合わなくなる病気です。大型犬に多く発症します。
症状には、以下のようなものがあります。
- 横座りをする
- モンローウォーク(腰をふるような歩き方)をする
- 立ち上がるのに時間がかかる
- 運動を嫌がる
- 立ったときの後ろ足の左右の間隔が狭くなる
股関節形成不全が発症した場合は、症状の進行を防ぐため、体重管理が大切になります。しかし、過度な運動は症状を悪化させるため、食事面で工夫するようにしましょう。
また、滑りやすい床を避けたり、滑らないよう足の裏の毛を短くカットしたりなど、日常生活にも気を配るようにしてください。
拡張型心筋症
拡張型心筋症とは、心臓を構造する筋肉である心筋が薄く伸び、収縮力が弱まることから血液の循環不全を起こす病気です。こちらも大型犬に多く見られます。
症状は、元気がなくなる、食欲の低下、体重減少、運動を嫌がるなどが挙げられますが、無症状であることもあります。
無症状の場合でも病気は進行するので、治療を続ける必要があります。
また、循環不全によって肺に水が溜まり、咳をしたり呼吸困難に陥ったりなどの症状が見られることもあります。
遺伝性の要因があると考えられてはいますが、原因は明確になっておりません。
発症の予防は難しいですが、早期発見により進行を遅らせることは可能です。健康チェックを習慣化させるようにしましょう。
アイリッシュウルフハウンドをお迎えしよう!
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ブリーダーからお迎えするメリット
①健康的で社交性の高い子犬を迎えやすい
十分に衛生管理がなされているブリーダーのもとで生まれ育った健康的な子犬を探すことができます。
また、他にも子犬がいる環境で生まれ育っているため、社会性が身に付いた状態で迎えやすくなります。
さらに、基本的なしつけを受けていたり、適切な血統管理がなされていたりするケースが多いです。
②購入後のサポートも安心できる
子犬の見学を通してブリーダーの顔がわかり、信頼関係を築くことができます。
子犬の購入後も分からないことがあれば質問しやすくなり、安心してサポートを受けられます。
③購入金額を抑えられる
流通の中間マージンがかからないため、ペットショップから購入する場合にくらべて子犬の購入金額は安くなります。
アイリッシュウルフハウンドの子犬をブリーダーからお迎えしたい方は、こちらのボタンから最新情報をチェック!優良ブリーダー情報も詳しく掲載しています。
※タイミングによってはお迎えできるワンちゃんがいない場合もあります。